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日本アフリカ学会第58回学術大会公開シンポジウム

「COVID-19パンデミックのなかのアフリカ」

 新型コロナウィルス感染症(COVID-19)では、発生が報じられた2020年1月以降、1億人以上の感染者を出し、250万人が死亡したとされる(2021年3月5日時点)。当初は中国の一部の都市における風土病(エンデミック)だと思われたが、人の移動によって瞬く間に地球全域を覆いつくすパンデミックとなった。これは、2009年の新型インフルエンザ(swine flu, N1H1 flu、死者およそ2万人)、2002年から翌年にかけてのSARS(感染者8000人、死者およそ800人)と比べてもそのウィルスのしぶとさ、感染のし易さ、そして社会活動へのインパクトの大きさという点で桁違いである。本シンポジウムでは、このCOVI-19パンデミックのアフリカ社会におよぼすインパクトを考えるための地均しをし、学会員が背景を共有する機会としたい。

 サブサハラアフリカでは概ね2020年3月下旬頃から感染者が確認されるようになり、2021年3月初頭時点で275万人あまりの感染者(内、南アが150万人)と累計7万人の死者を出しているが、北米やヨーロッパでの感染状況と比較すればアフリカは比較的落ち着いているようにも見える。もちろんこうした数値が正しいのか、実状を反映しているのかという疑念はあるが、感染状況だけをみれば世界的な疾病の蔓延はアフリカにはそれほど影響しなかったように見える。感染拡大の始まりがやや遅れてやってきたことが準備期間の確保につながったという見方もある。

 本学会員にとっては、(1)渡航できない、いつ渡航できるようになるのか、(2)フィールドの友人知人はどうしているのか、(3)ワクチンはアフリカに行き渡るのか、(4)急成長してきたアフリカ経済を盛り返せるのか、(5)MDGsの成果やSDGsの取り組みが吹き飛んでしまわないか、(6)日本とアフリカ大陸はコロナ前提時代(=withコロナ時代)にどのように関わり合えるのか、といったあたりが関心の中心ではないだろうか。

 本シンポジウムではこうした「気になること」のすべてを取り上げることはできない。さしあたり(1)グローバルヘルス時代の新興感染症対応、(2)ロックダウンと経済的インパクト、(3) 日本社会からの関わり方という3つの文脈から「COVID-19パンデミックのなかのアフリカ」について状況を整理しつつ、展望を語りあいたい。杉下智彦氏(東京女子医科大学)には、新型コロナウィルスのアフリカでの感染拡大状況(あるいは「心配されたほど広がらなかった」状況)を、国際公衆衛生学の立場から紹介してもらう。玉井隆氏(東洋学園大学、アフリカ日本協議会)は、COVID-19に関する市民社会からのアドヴォカシー活動を報告する。早川千晶(マゴソスクールを支える会、ケニア在住)は、ケニアの首都ナイロビにおいて感染者が増加するなかでの学校の閉鎖、スラム居住者の失業、食糧支援といった状況を目の当たりにした、その報告を行う。

【日時】

2021年5月23日(日) 13:15-15:15

【場所】

Zoom を用いオンラインにて開催

【定員・申込】

参加者上限:490名(学術大会参加者以外は先着順です。大会参加者は自動的にシンポジウムに参加登録されます。)

 

申し込み期限:5月19日(水)【申し込みは終了しました】

* 参加者のみなさまには5月20日(木)にZoom情報をお送りします。

【プログラム】

13:15-13:20 田川玄 大会長挨拶

13:20-13:25 栗本英世 学会長挨拶

13:25-13:35 増田研(長崎大学)

      「背景とシンポジウム趣旨の説明」

13:35-14:00 杉下智彦(東京女子医科大学)

      「COVID-19はなぜアフリカで広がらないのか?

                          現状と課題」

14:00-14:25 早川千晶(マゴソスクールを支える会)

      「コロナ禍におけるナイロビのスラムの状況」

14:25-14:50 玉井隆(東洋学園大学、アフリカ日本協議会)

      「COVID-19に対する医療アクセスをめぐる問題

                          と市民社会の対応:NPO法人アフリカ日本協議

      会のアドボカシー活動を中心に」

14:50-15:15 質疑応答とディスカッション

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